不器用だけど必死に生きてる人たち
✎わたしの職場で出会う愛おしい人たちの記録✎
2023/1/13
Yちゃんは最近精神科病院から退院してひとりぐらしをしている。
発達障害ちっくなところもあり、遊びに来たいといってきたのにじぶんからは全くしゃべらない。真顔で前をみつめている。こちらから話かけると時折にやっとして、ぼそっと答えてくれる。笑ってくれてよかった。今日の朝ごはんはさとうのごはん2パックだったという。
自炊が大変で、ちゃんとごはん食べてないらしい。
今日は事務所でYちゃんリクエストのミートソーススパゲティとポテトサラダを出した。ミートソースはチンのやつ。
Yちゃんはもくもくと食べる。おいしいのかな・・・
途中で他のスタッフが話しかけたときにYちゃんのほうを見ると口の周りがとってもミートソースだらけ。わんぱく。おいしかったんだ・・・
さすがに恥ずかしさもあったようで急いでティッシュで口を拭いてた。
その日以降、また遊びに行きたいとメッセージがばんばんきている。たのしかったんだ・・・
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2023/1/17
Mちゃんが事務所のニンテンドースイッチのジョイコンを直してあげるといってきてくれた。Mちゃんはゲーマー。よく抜血(注射器で自分の血を抜く自傷行為)をして倒れちゃう子。
「Lスティック修理キット」とMちゃんの書かれたジップロックから、ドライバーとかをだして修理し始めた。ダイソーのアルミシール?こんなの使うのかと思いながら見ていたら説明してくれた。「ここの、中の接続部分が折れちゃって電気が流れてないからアルミシールで補強してる」
修理方法は独学?ときくと、「ううん、自分ちのLスティックが壊れた時に、YouTubeで調べてやってたから」という。えらい。そういうのを独学っていうのでは・・・
こういう自分で調べてやってみて解決していける力って、なかなか持ってる人いないと思う。
スイッチを本体とつなげてみると、見事に直っている!すごい~~
この日のMちゃんの服装がデニムのつなぎで本当に業者にみえた。
お昼ご飯はコストコのハイローラーとプルコギ。どっちもthe コストコ。
やさい大嫌いのMちゃんはハイローラーのレタスをきれいに抜いていた。
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2021年のとある晴れた日
これはまだ私が精神科病院で働いていたころの話。
躁うつでかれこれ8回くらい入退院を繰り返しているMくん。わたしのひとつ年上でわたしのことを「〇〇ちゃん♡」と呼んでくる。若くてかわいい娘大好きマン。
過去にアイドルをネトストして手錠をかけられている。高齢化社会の精神科病棟の中で私をアイドル扱いしてくれた。
入院中私が処女か処女でないかで一生悩んでいた。やりまくってそうとか、何人とやりましたかとかセクハラ的発言されまくってたけど別にいやじゃない。ただこれまでの悪行が悪行なので看護師たちに「Mさん、発言気をつけな」って怒られてた。
当時認知症病棟の担当だった私は、認知症でない人との会話に飢えていた。正直中身の濃い会話したくてたまらなかった。だから息抜きに他の病棟に顔を出していた。Mくんは私が自分の病棟に来る日をいつも指折り数えて楽しみにしてくれた。
かっこいい言葉しりとりとかいう友達恋人その他多くの人間が付き合ってくれなかった遊びにずっと付き合ってくれた。
退院しては躁状態になって手錠かけられて入院してを繰り返していたMくん、アガりすぎていると退院できない。
私と話すのもうれしいと思ってくれるゆえ結構ハイになる。退院の話を1ミリでもするとこれまたすぐハイになる。
今回は2年くらいの入院を経て、退院の話が現実的になってきたようだ。Mくんの実家の近くはすでに出禁になっているグループホームが多い。
これまでの経歴を話すとお断りされ、退院先探しが難航したが、少し遠方のグループホームが受け入れ大丈夫ですよとのことらしい。
退院前日、ずっと担当している古相談員が「Mくん、今まで退院が近づいてきたらびゃーー上がって看護師さんとかにいらんことして退院延期とかもあったけどね、今回は良い感じに落ち着いてるわ。」と聞いた。ついに明日退院だ。
当日、見送りに私も立ち会った。
「わああああああ、〇〇さん、きれくれたんですかあ↑↑↑」
ハイすぎる。目がぎらついとる。
看護師は案外あっさりしていて、持ち物を渡すとささっと次の業務に消えていった。
私と先輩相談員㊛が最後まで見送ることになった。お迎えの車に乗り込んだMくん、急いで窓を開けて私たちになんかずっと叫びかけている。
若いコがプリクラでよくやるみたいに、両手を頬にあて、「おふたりとも、べっぴんさんっ」と言っている。スーパーハイモード。
「みなさんのおかげで、入院生活たのしかったで~~~す!!!」と叫んでいる途中で車が発進する。これが私たちの中のMくんの最後の言葉となった。
めちゃめちゃハイで帰っていきましたね。すぐ帰ってくるんじゃないですか。
なんて言いながら、私たちはMくんのことを愛おしがった。
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