おさんぽ中に友達になったじいちゃんの話
『断片的なものの社会学』を読んで、
心動かされる出来事は誰かの日常にどこまでも転がっていることを再認識した私は
「断片的なものがたりを探しに行くべ!」
と思い立って読了直後、イヤホンも耳にささず外に出た
その時の私はとにかく誰かと話しとーてしゃーなかった
そんな日に出会ったじいちゃんはお坊さんだった
私は人と出会う才能みたいなものをたまにすごく発揮する
後日、仏壇の展示会に誘われた
なんかすごく美味しいたけのこご飯定食たべて、あまいワインをのんだ
その日からじいちゃんのことは先生と呼んでいる(仏壇の営業マンに先生って呼ばれてたから)
今日は先生がテレビをくれるというので拝見しに行った
ほんとにお寺に住んでいる・・・
お寺のまわりに生えている老松の手入れのバイトをしないかと言われた
給料はないとのこと
そのあと、所有しているマンションに連れて行ってくれた
住んでくれる人を探しているそうだ
行く前に奥からトントントンと野菜を刻んでいる音と、「やきそばが~」っていう先生の声が聞こえた。
若くてかわいらしい女の子(私である)が言ったら格安で貸してくれるかななんて思いつつ、家賃はしっかり8万円とりますとのこと
でも8万円でも安いほど、すてきな部屋だった
先生がオークションで落としたという臨海学校で置いてあるような木製の二段ベッドがイチオシです
ちょうどお昼の時間で、即席のやきそばを作ってくれた
ちゃんとキャベツと豚肉も持ってきてくれていた
来る前に聞いたのは、先生の奥さんがキャベツを刻んでくれていた音だった
先生がよくわからない女の子を連れてきて、「今からマンションのほういってくるわ。ほんでやきそば作りたいから野菜と豚肉ないか」と言ってもさっと対応する奥さんと先生を想像して「いいな、そういうの・・・」と思った
小さい鍋しかなかったから、ひとりぶんずつ作った
わたしのぶんを先につくってくれたからお言葉に甘えて食べた
なんだこの平和なひとときは
そしてなんだこの状況は
しかもなんだこの美味しいやきそばは
私にはおじいちゃんがいたことがなかったから、おじいちゃんってこんなんなのかなと思った
これからやきそばを食べるたびにきっと今日のことを思い出す